気持ちの良い秋晴れの空の下、大塚・歳勝土遺跡公園内にある大塚遺跡の中で、東京芸術大学、国学院大学、天理大学の出身・所属の選りすぐりの演奏家の方々による野外での雅楽のコンサートを行いました。
午前中からの念入りなリハーサルが行われました。
通りがかりの方々も、本番は装束をつけての演奏だとわかると皆さん益々興味津々
遠く大塚遺跡の外から音が聴こえてきたのは・・・笙の音
いよいよ本番、入場です。
竪穴住居や高床式倉庫の間に、思い思いにシートや折りたたみイスに座って鑑賞しました。
木霊吹きという、二人の笛奏者が森の中で掛け合うような演奏も。
型どり復元住居跡で。現在でも皇居賢所で音楽家と神だけでのみ行われる御神楽の儀で演奏される神楽歌の曲も演奏されました。
自然の中、演奏のすぐ横では子どもたちが戯れ、古には野外の雅楽の様子もこのようであったとのこと。
竹林をぬけて、笛や笙、篳篥の音が聴こえ、拡がります。
真鍋さんの編曲は、通常の雅楽の合奏では聴こえにくいメロディーも、美しく聴こえるように構成されていました。
1300年もの歴史を持つ世界最古のオーケストラと言われる雅楽。青空の下、大塚遺跡に古の音が響き渡りました。
この演奏会の模様はYouTubeにて全て見る事ができます。
古の丘 古の音 真鍋尚之
2020年2月から、自粛や、緊急事態宣言を受けて、音楽家は活動の場を失い厳しい矢面に立たされていました。映像配信などの新たな音楽活動の方向性も試す事を余儀なくされてきましたが、音楽というのは生の演奏を聴いてもらう事によってしか伝わらないものがとても多くあり、演奏家も聴衆の見えないカメラに向かって演奏するのではなく、お客様の反応を感じながらの演奏を待ち焦がれていました。文化庁の補助金の申請が始まり、その活用方法を考え、演奏家に協力を要請し、演奏する場を探し、演奏内容を考えながら感染症対策もおこなわなければならないという、同時にいくつもの条件をクリアしていかなければならない作業は、決して一筋縄でいくものではありませんでした。補助金が採択されるかどうか分からないというのも演奏会を企画・主催する立場から大きなストレスとなっていました。そんな中、よこはま地域文化遺産デビュー・活用事業実行委員会および横浜市歴史博物館の全面的な協力を得て演奏会を開催できました。
今回の公演は感染症対策もあり、野外での新たなスタイルとして、公園全体を使っての演奏を行いました。舞台で演奏するのを客席で聴くというのではなく、公園でくつろいでいたら色々なところから音が聴こえてきた、というのを目指しました。自然や遺跡と音楽が一体となるものです。雲ひとつない秋晴れの下、大塚遺跡公園の心地よい空間に雅楽の音を満たす演奏会になったと思います。
演奏家にとっても自粛後初めての演奏となった人がほとんどです。まだまだこの先も音楽家にとっても厳しい時間が続きますが、新たな活動の一歩として一筋の光明が見えた充実したひと時でした。
開催
2020年10月31日(土)13:30〜15:00
会場
大塚遺跡( 大塚・歳勝土遺跡公園内 )
出演
笙:真鍋尚之 豊剛秋 永井大志 篳篥:春日るり子 笛:岩崎達也 間東優香
運営
主催:古の丘 古の音実行委員会
よこはま地域文化遺産デビュー・活用事業実行委員会
共催:横浜市歴史博物館
協力:NPO法人都筑民家園運営委委員会
運営協力金:1,000円
参加者:47人 スタッフ:7人